※「YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)」は、2021年6月23日に「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」に名称を変更しました。
株式会社志風音は、海外有名メゾン系ブランドの日本総代理店から始まり、現在では海外・国内の有名ファッションブランドを保有又はライセンス契約し、ファッション分野において幅広い展開をされています。
「顕在層の刈り取り中心の広告施策だけでなく、新たなお客様へのアプローチも並行して行っていく必要があった」という執行役員EC事業部長の武富さんと、広告運用を請け負うイーエムネットジャパンの阿部さんにお話を伺いました。
ジャンルにとらわれない志風音の幅広いブランド展開
現在22ブランドを展開し、小売の販売チャネルはオンラインが主力です。集客強化(認知)の一つとして、さまざまな芸能人の方とのコラボレーションを行っています。ジャンルにとらわれず複数のブランドを保有しているため、芸能人の方をフックに多くのお客様を集めることが、ブランドごとにファンの属性が大きく異なるという事象につながっていました。
幅広くお客様を集めた後にどう活用するか、例えばリターゲティング広告はわかりやすい手法ではありますが、サイトの中でもブランドによってユーザー属性はバラバラですし、どこにターゲティングするかは非常に難しい課題でした。
なお、弊社は広告予算は特に設けておらず、ROASを基準にしています。広く集めた新規のお客様をROASが合う広告施策で定着させ、売上を最大化させることがWeb広告のミッションです。(志風音:武富さん)
課題とAD2導入の背景
元々は、ブランド名検索やFacebookやYDNでのリターゲティングをメインで運用していました。獲得効率は非常に良かったのですが、顕在層の刈り取りが中心のため、刈り取りきってしまった先が怖いという不安がありました。
武富さんも同様の不安を感じられていまして、CVの数を増やしていく・ファンの方を増やしていくためには、リターゲティングだけではなく新規獲得も同時に考える必要があると考えました。
先ほどの武富さんのお話にもありましたが、志風音さまの特徴としてブランドごとにユーザー属性が大きく異なることがあります。当初、FacebookでCVユーザーの類似配信の着手をしていましたが、「ECサイトのCVユーザー」というセグメントでは全ブランドのCVユーザーが混在しており、ターゲティングが不十分です。
- 特定ブランドの商品を購入した人
- いくら以上購入している人
- 直近ECサイトにログインしている人
など、ユーザーリストを細分化し、どのクリエイティブをどのユーザーに当てるべきか、どのユーザー属性が成果につながるかを検証をするためAD2を導入しました。(イーエムネットジャパン:阿部さん)
施策内容
最も成果が出そうなところから着手するため、まずは1番販売ボリュームの大きい1ブランドをセレクトし、新規獲得を目的とした類似拡張配信をFacebookで実施しました。GoogleAnalyticsのレポートから、ECサイトに新しくアップされた商品が売れ筋ということがわかっていたので、類似ユーザーに「新アイテム」の訴求を行うことで反応率を上げることができるのではないかと考えました。
|ステップ1
CV獲得効率を引き上げられるのかを検証するため、指標はCVRに着目することとし、FacebookのCV類似ユーザーと対象ブランド商品購入者のCV類似ユーザーを併走して運用。
対象リスト
①FacebookのCV類似ユーザー
②対象ブランド商品購入者の類似ユーザー
商材
対象ブランドの新アイテム
結果
顧客データを活用したターゲティングの方がCVRが約3倍という結果になりました。
| ステップ2
ステップ1で実施したリスト②と、さらにFacebookの「買い物・ファッション」の興味関心ユーザーを掛け合わせたリストを併走させてABテストを実施。
対象リスト
①対象ブランド商品購入者の類似ユーザー×「買い物」「ファッション」カテゴリとの掛け合わせ
②対象ブランド商品購入者の類似ユーザー
商材
対象ブランドの新アイテム
結果
CVRに大きな差は出ませんでしたが、ROASを比較すると約1.6倍ほど興味関心カテゴリとの掛け合わせリストの方が向上しました。「買い物・ファッション」の興味関心を掛け合わせることで、より「新アイテム」に興味を持つ層にアプローチできた=ターゲティングの精度を上げることができた結果です。
施策を開始した当初は、1ヵ月全体の数値でROASが目標に合えばいいくらいで運用をしていましたが、今では本施策単体でもROASが合うようになってきています。ROASを保ちながら効率的に新規ユーザーにアプローチできるようになってきていることを評価いただいています。
拡張配信の良さは、リターゲティングとは異なるターゲットにアプローチできることで、CVのボリュームを増加できるところです。配信ボリュームは4月以降少し押さえていますが、ボリュームを絞った中でも新規ユーザーへのアプローチ基盤を築いていくことで、次の繁忙期で売上を最大化させつつ、ROASを落とすことなく運用ができると考えています。(イーエムネットジャパン:阿部さん)
<ポイント>
- Facebookの類似拡張×興味関心で効率的に新規獲得
- 志風音さまのブランドがFacebookのアクティブ層(30代、40代男性)とマッチしている
- → 80%を超える高いマッチ率
- 代理店側でリストをたくさん作成し、勝ちパターンを見つけている(成果の出る運用体制)
今後の展開
1.新たな勝ちパターン(セグメント)の検証と、YDNでの実施
志風音さまの商品はよく雑誌に掲載されているのですが、ある雑誌の掲載アイテムをFacebook広告で展開すると多くの成果につながります。そこで、その雑誌に興味関心あるユーザーを分析してみたところ、「車」「時計」に興味が高いのではないかという仮説を得ました。
その仮説を元に、現在「買い物・ファッション」カテゴリで掛け合わせているものと、「時計」「車」などで掛け合わせたらどうなるか、ABテストをして検証してみたいと考えています。
また、今まではFacebookのみでアドレサブル広告を実施してきましたが、今後YDNでの展開も準備中です。(イーエムネットジャパン:阿部さん)
2.新ブランドでの展開
今年から、kappaやhummelといったスポーツブランドの取り扱いが増えました。また、NBCユニバーサル・エンターテイメントやウォルト・ディズニー・ジャパン社とのキャラクタービジネスでの展開も始まっています。こちらの新ブランドでも、今後AD2を活用した施策を展開していきたいと考えています。 (志風音:武富さん)